一般人にもわかる安倍なつみ卒業公演

1月25日、横浜アリーナでのライブを最後に、安倍なつみモーニング娘を「卒業」しました。各所で少し漏らしていたとおり、僕も行ってきました。もちろん、最終日の夜の、最終公演。

ところが僕先週の月曜日まで今日が最終公演だって知らなかったんですよね。
友達に言われて初めて知った。チケット取ってくれ言われて初めて冬卒業だって知った。その前まで、春だとばかり思っていたから。
この時点でチケット争奪戦から一歩遅れている。どうやって取るのだ。超プレミアだぞ。

僕のことをよく知っている人は、「ゆぅずは石川推しなのになんでなっち卒業が見たいんだ」と言いました。しかし、それは娘。の情報が少ない人の物言いだと言わざるをえません。
僕の場合は、(平家みちよが受かった)オーディションが始まったときから、ASAYANを見ていました。だから、娘。が落選組から結成されて、シングル「愛の種」を手売りで5万枚売らなくちゃいけないから頑張れ、みたいな悲哀を知ってるんですよね。どこかのFM局のプロモの内容でプロデューサーに怒られてしゅんとする5人の姿を覚えているんですよ。そこから娘。の中心メンバーとして、成長していく姿を見てるんですよ。「抱いて!HOLD ON ME」が(オリコンは無理だったけど)どこかのラジオ局のリクエストランキング番組で1位とったとき、ものすごい嬉しかったんですよ。鈴木あみ(当時)のシングル「ALL NIGHT LONG」と、番組の企画で同日発売対決したシングル「ふるさと」が鈴木あみに惨敗したことを覚えているんですよ。そんなときから、なっちは娘。の中心メンバーだったんですよ。いわばもうシンボルですね。
なっちいずざしんぼるおぶもーにんぐむすめ。
なっちいずざもーにんぐむすめ。
ざもーにんぐむすめ。いずなっち。
俺みたいな他メン推しでもそのくらいの心意気はあるわけですよ。ましてやなっち推しをや。当日はなっちの名前を背中にしょった特攻服が目立ってた。度重なる卒業・新メンバー・ハロプロキッズなど、事務所アップフロントの方針に嫌気がさしてしまったオールドファン(俺のことらしい)たちも、安倍の卒業には感慨を感じたのです。とっくに卒業した中澤裕子ですら感極まるだけの存在が安倍なつみにはあるのです。妹のあさみんがデビューできるだけの七光すらあるのです。

結局、意地でチケットを探した。

だけど…金券ショップで悩みこんでしまった。1枚で11万5000円。友達の分と合わせ
て2枚で23万。軽く給料一か月分じゃないか。
一度買うのをためらい、インターネットとにらめっこしてみた。
そこで気になる記述を見つける。
「入るだけで5万」
なんだ、それは。

でも、結局11万5000円で買ってしまった。
もちろん、特別な公演だから絶対見たい公演でもある。
たがむしろ感じていたのは自分に対する酔いに近いものだったのかもしれない。
プレミアプレミア言われるチケットを、大枚はたいて手に入れる。チケット屋の「給料ふっとびますからねー」というコメントはそれに拍車をかけた。翌日、東スポの1面に「80万」という見だしが出て、その酔いはさらに高ぶった。

そして当日。
すごい。
「気合の入った香ばしい方」を見たいのならチケット持ってなくても会場に行ってみればわかるよ、とはよく言っていた僕ではあるが、今回ばかりはさすがにあっけに取られた。日本にこんなにたくさんモーヲタがいたのか(お前もだよ)。今までの盛り上がり方とはあきらかに違う。

そこらじゅうにいるファンクラブTシャツ、特攻服。ダンス確認してるヤツもいれば、「今日のアンコールの曲あててみようぜ」だの、「いやー、北海道から車を飛ばして・・・」だの。オフィシャルのグッズは売り切れが相次いでいる。
Tシャツ、着なくちゃいけないんじゃないのか。
すっかり興奮し、毒されてしまった僕らは、いつもひとつしか買わないサイリュウムをふたつ買い、「石川梨華」って書いた腕章まで買ってしまった。

会場の話は各種報道によったほうが詳しいだろう。
白いサイリュウムに包まれた横浜アリーナ、なりやまない「なっち」コール。正直セットリストは不満が残った。モーニングコーヒーか、LOVEマシーンはやってほしかった。マイフェイバリットベスト5曲のうち、1曲しかやらなかった。しかし、それでもこのコンサートは良かった。何度かコンサートには行っているが、すべてがありえなかった。
プログラムが全部終わって、アリーナを出ていく観客がみんな「なっち」コールで会場をあとにしていく。出口の中央ロビーが「なっち」コールで包まれる。
モーヲタも捨てたもんじゃないな」と隣で言う人がいる。「お前もだよ」と思いながら、ある意味コンサート中よりも感動している僕がいた。
この狂乱は、なんでも騒いでしまえ、という雰囲気だったW杯のころに近いものすらあった。その点においては、僕がお金をかけて会場に存在すること、それ自体に酔いを感じてしまったように、娘。もしくはなっちに対する狂乱ではなかったのかもしれない。とはいえ、まだ娘。にはこれだけの狂乱を生むだけのエネルギーがあったわけだ。
ファンサイトでは(マスコミとは相反して)娘。の人気はさらに凋落していくことが予想されており、その考えに僕も異論はない。もしもう一回、このエネルギーが体感できるとしたら、それはおそらく解散の時。このエネルギーがあるうちに、解散してほしい。もう一度、同じ狂乱を味わいたいから。